対人恐怖症の原因は、赤面恐怖症の原因と全く同じであって、羞恥心に基づく人間心理の自然法則によるものであります。その発病の動機も全く同じでありますが、特に対人恐怖症の場合は、在学中に不愉快な担任教師があったとか、あるいは、かつて凶悪犯人を主人公とした小説、ラジオ、テレビまたは映画による恐怖感に襲われたことが、後日になって対人恐怖症となってあらわれることもあります。 長尾式催眠療法です。 対人恐怖症をなおすには、羞恥心による沸き立つ感情に逆らうことなく、その感情に服従するのです。 羞恥心の感情だけでなく、どんな感情でも、それを押えつけることは、普通の人ではほとんど不可能に近く、たとえば、喜怒哀楽の感情を無理に押えつけると、その副作用としていろいろの症状があらわれます。たとえば怒りの感情を押えつけ、じっとこらえていると、後に述べるリウマチ、糖尿病、バセドー病等に発展します。恥ずかしいという羞恥心の感情を押えつけようとすると反発されて、ますます怖くくなります。 そこで、催眠術によって対人恐怖症をなおすには、次のような暗示を与え、その羞恥心の感情に逆らわないようにします。 「あなたは、恥ずかしがり屋ですから、人前で顔が赤くなったり胸が躍っても仕方がない、生まれつきだから仕方がないとあきらめて、恥ずかしいという感情に決して逆らいません、心のそこからそのように思います」 と、このような暗示を与えると、対人恐怖症はなおります。ですから「赤くなっては困る」「胸が躍らないようになりたい」などと思うことは、羞恥心の感情に逆らうのですから、ますます怖くくなります。仕方がないと心のそこから思えば、羞恥心の感情は消えてしまって、決して赤くなりません。
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