現代フィリピンを知るための60章 (エリア・スタディーズ)



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現代フィリピンを知るための60章 (エリア・スタディーズ)
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 明石書店の「○○を知る△章」というこの叢書は、各編を横断する統一的な編集方針や構成の決まりといったものが見られません。私はこれまでもスペイン、インド、ブラジルといった各編を手にしてきましたが、それぞれの仕上がり具合は実に千差万別です。インド編は一般読者向けとは思われない極所的なテーマを選んでいる点に納得がいきませんでした。その一方でブラジル編のように幅広くバランスの取れたテーマを取り上げ、かの国に対する誇りと愛情をもってたった一人のブラジル人著者が精力的に文章を綴っている好編もあります。

 さてこのフィリピン編ですが、テーマの選び方はほぼ満点です。政治と経済、文化や風俗、日本との関係など、平均的読者がフィリピンについて知りたいと考える知的欲求にきちんと応えられるだけの項目が並んでいるといえます。

 しかし文章については苦言を呈したいとおもいます。

 執筆担当者が30人近くにも及んでいますが、その8割がアカデミズムの世界に身を置く人々であるためにこの本は非常に小難しいものになってしまったうらみがあります。研究者特有の硬質で非日常的な漢語が多い文体は決して一般読者向けとはいえないでしょう。特にフィリピン文学を語った第23章は、外国人の京大助教授がおそらく英語で書いたものを翻訳しているのですが、まるで学術論文のような難しさです。

 執筆陣を束ねるべき編者が、老若男女を対象に文章を書くことをなりわいとする朝日新聞の記者なのですから、全体の文体についてもう少し統率力を発揮してもよかったのではないでしょうか。

 本書は出版時に大統領職にあったエストラーダの時代までしか描かれていません。今年の選挙で新大統領が誕生するのを期に改定版を出す予定があるのならば、文体等について見直しを検討してもらいたいものです。
行ってから読むほうが良いかも

 フィリピンに興味を持った方には、ぜひお勧めします。よく見かける日本人による主観的フィリピン体験記(得てしてアンダーグラウンド風)と違い、とても真面目にフィリピンを表現している内容に好感が持てました。(少し文章が’硬い’ですが・・) 政治・経済・歴史・生活など複数のジャンルについて、数ページずつで様々な切り口から書かれており、分量的にも読みやすい内容です。
 フィリピンに行く前の学習材料としても有益と思いますが、フィリピンに行ってから、一層フィリピンという国やそこでの生活に興味を持った方にお勧めします。私の場合、特に現地の人との会話の背景や比喩が、’そういうことだったのか!’と肯くことがありました。
フィリピンの 今の全体像を コンパクトに。

この フィリピンの60章は、 少々 堅い表現が 気になり 取っ付きにくいところがあるが、 ふとした事で フィリピンに興味を持った人達にとって、 忙しい中でも フィリピンの全体像をつかみ取るのに もってこいの本である。

又、 フィリピンに詳しい日本人にとっても、 一章あたり 3−4ページの コンパクトな

文章の中に、フィリピンでの体験を納得させる  貴重なデータを提供してくれる。

 



明石書店
物語 フィリピンの歴史―「盗まれた楽園」と抵抗の500年 (中公新書)
フィリピンの大衆文化
フィリピン最底辺を生きる (岩波フォト・ドキュメンタリー世界の戦場から)
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フィリピンを乗っ取った男